冬節の想


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Intrattenimento Libri
Sviluppatore Tadahisa Hirano
Libero

東日本大震災が起きた2011年、同作品の時代背景がより読み手に現実味を帯びて迫り、身近な形で「普遍的な若者の苦悩」や「時代の巡り」を感じさせる。
好評につき、「現代の若者の姿」シリーズの第2弾を、満を持してリリース。

★前作品は、iPhoneブックランキングで6位を獲得いたしました。
ありがとうございました。

【作品紹介】
○「冬節の想」は作者初期の意欲作である「現代の若者の姿」シリーズ4編のなかの1編。もっとも早期に構想されたもので、同氏の処女作になる。「現代の若者の-姿」シリーズの短編「髪─S子の肖像─」(2010年12月にリリース)とともに、執筆当時はその革新的な表現手法や作品構成の異質さなどから、賛否が分かれた。筑摩書房の第22回太宰治賞の第1次選考通過作品でもある。

★テレビやグラビアなどで活躍中の風男塾&中野風女シスターズのメンバーで、マンガソムリエとしても有名な原田まりるさんは、同氏の小説の作風や描写、特異なリアリズムに注目する一人。同作品には下記のコメントを寄せて、高く評価する。

酔い、意識を飛ばし、自分を忘れることを生き甲斐に、生きていないか?
そんな矛盾した生き方を客観的に問いただす作品。
作者の得意とする露骨な生々しさの描写に、温かい不快感を覚える作品。
人と人との対話、情愛、絆。一つ一つが暖かいものではなく、生温かい嫌気を感じさせるリアリズムを追求したストーリー。
街灯、月明かり、道路の表札までもが自分を責めているかのような錯覚に襲われる、前作から定評がある【歪みあるヒューマニズム】を読むなら、この作品を推薦します。

○同作品は、阪神大震災や地下鉄サリン事件が起きた翌年2月初めに、主人公「彼」(中津サトシ)が上野駅から札幌に向かう寝台列車の中で、夢から覚める場面で始まる。彼は冬の盛りの季節に道東を巡りながら、東京での暮らしぶり、身近な人との記憶、同年代との人間関係、将来への不安、過去の女性の幻影、過渡期の過失、漠とした危惧や人間の愛情、偏屈な個人主義、個と我、無と有、死と生……など、各地を訪れるのと平行して、多くの想いを巡らせる。

○若者の苦悩と挫折をテーマにする「現代の若者の姿」シリーズの中でも、同作品はとくに「挫折と再生」に主眼を置く。そして、主人公の精神世界を繊細に描写し、内面や心情を深く掘り下げるとともに、その軌跡や展開を肉厚に書き表し、胸に浮かぶ想念がリアルに展開することで、作品の骨格が形成される。その想念の軌跡は旅行の進行とともに、より深く煮詰まっていき、やがて…



【著者紹介・著者プロフィール】
平野忠久(ひらの・ただひさ)
1971年、東京都板橋区生まれ。都内で会社員として勤務しながら、フリーで執筆活動をする。専門分野は現代建築、建築構造、都市計画を軸に、主に建築関連。20歳台は広告代理店、旅行会社、建設会社、イベント会社、撮影スタジオなどアルバイトを含めて20業種以上に勤務しながら、創作活動を始める。2010年12月24日に電子書籍「髪-S子の肖像-」をリリース。